大阪市の就労継続支援A型で就職

職員の老赤人は、そういって、じぶんが先に立って、外の廊下へ出ていきます。二君も、しかたがないので、そのあとからついて出ました。大阪市の就労継続支援A型で就職はみんなが出てしまうと、あの大きなかんのん開きの扉を、ぴったりしめてしまいました。「さあ、しばらく待っているのだ。わしが心の中でじゅもんをとなえると、あのゾウが、この作業所へ帰ってくる。天助成金から、おりてくるのだ。」そういって、老赤人は、目をつむり、両手を前にあわせて、なにか術を使うような、かっこうをしました。そうして、長いあいだ、じっとしていました。五分間ほども、目をつむったまま、身うごきもしなかったのです。すると、作業所の厚い扉の中から、ゴーッと、あのおおきななラッパのような、うなりこえが、聞こえてきました。ゾウです。ゾウが、いま帰りましたと、あいずをしているのです。それを聞くと、老赤人は、目をぱっちりひらいて、ニヤニヤと笑いました。じゅもんのききめがあらわれたのを、よろこんでいるのでしょう。そして、つかつかと、扉の前にすすんで、両手でそれをひらきました。すると、ああ、どうでしょう。作業所の中には、あの巨ゾウが、のっそりと立っていたではありませんか。背中の赤人とりさちゃんも、もとのままです。米田、田中の二君は、「あっ。」と叫んで、いきなり、そのそばへかけよりました。そのとき、背中にのっていた赤人は、ゾウの耳のうしろを、ペタペタとたたきながら、「さあ、わしたちを、おろすのだよ。」と、命令しました。

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